2024/09/01 21:09
私たちが生きていく上に必要な「食」のこと。
たとえば「おひるごはんに食べたトマトやきゅうりってどうやってできているんだろう・・・」
たとえば「おひるごはんに食べたトマトやきゅうりってどうやってできているんだろう・・・」
そんなこと考えもしなかった!と言う方もいらっしゃるかもしれませんね。
先日のブログでほおずきへの想いや栽培について書きましたが、
今回は百笑農房のメインの作物、「食用ほおずきはどうやってできるの?」をお伝えいたしますね。
※ここでは百笑農房が栽培している「食用ほおずき」について書いています。
公式ホームページ「ほおずきが実るまで」も是非一度ご覧ください。
前回のブログで「食べる宝石」ほおずきは「ナス科」野菜の仲間とお伝えしました。
トマトやピーマン、ナスのように、他の野菜と同じように、最初は種まきから始まります。
前年収穫して選抜した実から種を取り、約1㎜程度の小さな種を1粒1粒蒔きます。
「苗半作」と言う言葉があるように、良い苗を育てれば半分は成功という意味で、とても大事な期間なのです。
土の状態・種の埋め方・温度・水・・・順調に管理すれば、約1週間から10日後に芽が出て来ます。
発芽したばかりの芽は人間の赤ちゃんと同じ。すぐに壊れそうですよね。
真冬でもハウスの中は太陽が出ると暑いくらいになるので、
温度管理はもちろん、水管理も丁寧に、慎重に毎日管理します。
水が無くなったり、暑すぎるとあっという間に枯れてしまうので、
毎年本当にハラハラドキドキの時間です。
発芽して1週間くらいすると、少ししっかりしてきます。産毛も生えてますね。
種まきから約1か月が過ぎ、本葉が出て根っこもしっかりして来た3月下旬にはポットに移植します。
これも1株ずつ移植するので、数日かけて行ないます。
根っこを切らないよう、慎重に移植します。
(以前、根っこが切れ、ぶちぶち音を立てながら引っ張り出した苗は、やはり生育があまり良くなかった苦い経験済)
種まきからトータルで約3か月育苗します。長い!
霜の心配が無くなる5月下旬頃にようやく畑に定植します。
佐久望月は5月下旬に突然霜が下りることがあるので、
定植のタイミングを見極めるのが本当に難しく、常に天気予報とにらめっこ。
本当にハラハラします。
それまでにひと冬越えた畑をトラクター荒がけ・肥料まき・再度トラクター・マルチ張りを行ない、定植に向けて備えます。
約1,000株以上あるので、順調にいけば、だいたい3日間くらいで植え終わります。
その後また約3か月かけて収穫に向けてのエンドレスな準備期間となります。
電気柵張る・防草シート張り・支柱立て・誘引・マイカ線張り・草刈り何度も・ほおずきの枝入れ・・・
言葉で書くと、何だか簡単であっという間に終われそうですね。
でも実際は言葉通り、エンドレスで地味~~~~~な作業が続きます。
でも実際は言葉通り、エンドレスで地味~~~~~な作業が続きます。
防草シート張り。年々効率良く張れるようになっています。飛ばないよう、全て手作業でピンで止めています。
支柱たて。2,000本くらいあるんでしょうか。1本1本、手作業です。気が遠くなります。
今年は面積35a程度に今年は約1300株植えていて、
(なかなか分かりにくいので、とにかく広い!です)全部で47列あります。
一番長い列で約50mあり、1列の作業をするのに1時間~2時間以上くらいかかります。
全部回り終える頃にはほおずきはすっかり成長しているので、また同じ作業の繰り返し。
その間には雨が降ったり、他の作物もあり、毎日仕事を進められないので、
気付けばあっという間に3か月は過ぎ、あっ!!!色付いてる!!!と、
慌て焦るのが毎年の収穫の合図となっています。
すっかり森と化したほおずき畑。遠くには浅間山を臨めます。
例年、8月末頃から緑色のガクが少しずつ色付きます。
8月末~9月に入り、いよいよ収穫が始まります。
このあいだ、我が子のように「おはよう」「大きくなぁれ」「美味しくなぁれ」と、
声をかけながら、小さな変化を見逃さないよう、しっかり観察して成長を見守っています。
基本的に雨が降っても収穫は毎日行ないます。基本的に5日をワンクールとして収穫します。
1㎜程度の種は、この頃には 2m 近くになります。
収穫後は1粒1粒選別、陰干しし、乾燥・数日追熟させて専用の保冷コンテナに保管、出荷します。
これを基本的に毎日行ないます。
長い時間をかけて、手間暇かけて収穫した「食べる宝石」ほおずきの出荷はまるでお嫁に出すような気持ちです。
ガク(殻)を1 粒 1 粒手作業でていねいに剥き、
異物、割れや傷み、大きさや形の確認の厳しいチェックをして、
お客様の商品が届いた時の驚きや笑顔を想像しながら心をこめて詰めています。
並行してジュースなどになる加工用のほおずきの実のガクを剥き、
信頼している有機認証加工業者さまに出荷します。
だいたい霜が下りる10月末頃に収穫は終了。
栽培には約半年かかりますが、実際の収穫期間はわずか2か月程度。
まだまだたくさんお花や青い実がついていますが、
残念ながらこれらは出荷出来ないまま、最終的には土に還し、来年度の糧とします。
ここ数年は気温が高いので、片付けを進めながらも収穫出来る実は可能な限り収穫します。
並行して片付けは基本的に農房主が1人で最初の流れの反対の流れで片付けを行ないます。
防草シートはがし・支柱回収・マイカ線回収・ほおずきの刈り取り・
フレールモア(ほおずきを砕く機械)をかける・最後にトラクターをかけて更地となり、シーズン終了。
片付けはおよそ1か月半程度かかります。
これがだいたい1シーズンの流れとなります。
これらの仕事は基本的に百笑農房2人で行ない、9~10月の収穫、出荷期間だけチーム百笑農房のメンバーとしてスタッフと一緒に頑張っています。
今ではお店やネットなどでお金を払って野菜や果物、食べ物を「買う」のが殆どではないかと思います。
お店では1年中、同じ形のきれいな野菜や果物が何でもそろっているのが当たり前。
でもね、食べもの(野菜)って種をまき、時間をかけてようやく実り、いただくことができる。
今日種をまいて明日出来るものではないのです。
私自身は農家になったからこそ、大変な手間暇かけてようやく実るというのを経験し、
食のめぐみ、食べ物をいただくというありがたみを痛感しています。
農業は種まきや、収穫はよく話を聞いたり、
実際何かで見たりしたことがある方は多いでしょうが、それらは農作業のほんの一部。
収穫に至るまで農家は表からは見えない地味な作業をひたすら時間をかけて、こつこつと続けています。
そして自然の恵みをいただく仕事であるが故に、
どんなに努力して手間暇かけても、霜、雹、台風・・・
天災で一瞬にして全てがぱぁ、になることもあります。
本当にギャンブルのようで、投げ場のないやるせない気持ちになることもあります。
それでも今まで続けていられるのは、
ほおずきも一生懸命美味しい実をつけてくれること、
家族や友人知人、お客様、お取引先様を始め、
ほおずきも一生懸命美味しい実をつけてくれること、
家族や友人知人、お客様、お取引先様を始め、
たくさんの方々の支え、応援、買って笑顔になってくれているおかげです。
就農して10年目。
その当時に比べると確実に気候は変化しています。
そして年々それが酷くなっています。
正直、色々な意味で本当にこれから大丈夫なのか?と、危機感と不安ばかりが募りますが、
皆さんの応援は心からの支えとなっています。
微力ながらも「食」をお届けする仕事を持つ立場として、
百笑農房は「食べる宝石」ほおずきを主力作物として、これからも可能な限り続けていきます。
何かを食べたとき、ほんの少しでもいいので、
何かを食べたとき、ほんの少しでもいいので、
今回のお話を思い出し、これは何か月かけてここまで大きくなったのかなぁ、と、
少しでも思い出してもらえたらうれしいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。ではまた!