2025/06/29 18:51
こんにちは、百笑農房です!
毎年、春に行われる実地審査を経て、ようやく認証を維持できるのがこの制度。
今年も3月末に行なわれました。
毎年行われる実地審査を経て、ようやく認証を更新できるのがこの制度です。
そして、おかげさまで無事に今年度も更新を継続しました!


これで今年度も有機JASシールを貼り、「有機ほおずき」と呼ぶことができます。

この場を借りて、応援してくださる皆さんにご報告するとともに、
「オーガニックってなんとなく体に良さそう…でも、詳しいことはよく分からない」
そんなふうに感じたこと、ありませんか?
「有機JASって何?」と感じている方に向けて、少し詳しくお話しできたらと思います。
「有機JAS」って何?
「オーガニック」「有機野菜」と耳にすることが増えましたが、実はこれらの言葉は、
誰でも自由に名乗っていい言葉ではありません。
日本では、農産物に「有機」や「オーガニック」と表示するためには、
国の基準に適合した“有機JAS認証”を受けることが法律で義務づけられています。
有機JASは、有機食品(農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として
自然界の力で生産された食品)について農林水産大臣が定める国家規格です。
有機食品のJASに適合した生産が行われていることを登録認証機関が検査し、
その結果、認証された事業者のみが「有機JASマーク」を貼ることができます。
有機JASマークがない農産物、畜産物、加工食品に、「有機」「オーガニック」などの
名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています。
(農林水産省 有機JASについて教えてください。 より引用)
農林水産省が発表した「日本の有機農業の取組面積について」によると、
2022年8月現在の日本の有機農業の面積は3万haで、耕地面積に占める有機農業取組面積の割合は0.7%でした。
※この面積は、有機JAS認証を取得している農地と有機JAS認証を取得していないが有機農業が行われている農地を合わせたものです。
これを見ると、何と少ない!とびっくりしませんか?
この認証を受けることで、初めて
「有機○○」
「オーガニック○○」
と正式に名乗ることができるようになります。
☆有機JASマークがない農産物に
①「有機●●」「オーガニック▲▲」などの名称の表示
② ①と紛らわしい表示
を付すことは法律で禁止しています。
☆これに反した場合、①②の表示を除去・抹消しなければなりません。(農林水産大臣の命令)
☆農林水産大臣の命令に違反した場合は、 懲役又は罰金が科せられます。
(※農林水産省 有機農産物
検査認証制度ハンドブックより引用)
認証を受けた農作物や加工品には、「有機JASマーク」がつけられます。
これは、消費者にとっては「基準に沿った作られ方をしているんだな」という目に見える選択肢の1つになります。
どんな基準をクリアしなければならないのでしょうか?
主な条件は以下のようなものです:
●栽培時に「有機JAS規格で認められた肥料・農薬などの資材」を使用していること。
●栽培を開始する2年以上前からほ場に禁止された農薬・化学肥料を使用していないこと
●栽培中化学農薬・化学肥料を使用していないこと
●ほ場や施設・用具に農薬や化学肥料などの使用禁止資材の飛散・混入がないこと。
●遺伝子組み換えの種苗を使わないこと
などなど、
つまり「可能な限り科学的なものを使わない栽培」に加え、記録やトレース管理の徹底、第三者の定期審査など、
日々の積み重ねがなければ維持できないのが、有機JASです。
「有機JAS=農薬不使用」ではない?
これは誤解されがちなポイントのひとつですが、
実は有機JAS認証=農薬を使っていないというわけではありません。
有機JASで認められている農薬は、
自然由来の成分をもとにした、認可された農薬(天然系資材)です。
その使用も厳しく制限され、必要最小限にとどめなければなりません。
「安全であればなんでもOK」ではなく、「自然環境と人に配慮しながら、持続可能な農業を目指す」のが前提です。
そして以前は「無農薬」「減農薬」などと表記された野菜が販売されていましたが、
これらの表現は生産者によって定義が異なり、消費者に誤解を与えやすいという理由で、
平成16年に禁止されました。農林水産省の『特別栽培農産物に係るガイドライン』によると、
「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」は表示禁止とされています。
・農薬に関する特別栽培の表記(簡単に)
農薬をまったく使用しない場合…「農薬:栽培期間中不使用」
節減対象でない農薬を使用した場合…「節減対象農薬(※):栽培期間中不使用」
節減対象農薬を削減した場合…「節減対象農薬:当地比◯割減」など
認証がもたらすもの
有機JAS認証を受けるには、正直言って手間も時間もお金もかかります。
そしてこの認証が「ゴール」ではなく、栽培する「手段」の1つであることだと思っています。
「有機JASマークがあるかないか」だけでは伝わらないその先には、
上記のように、見えない努力がたくさんあります。
でも、百笑農房がこの認証を続ける理由は、
農業は環境の面で負荷が大きいですが、ほんの少しでもその負荷を減らす努力をすること。
また、食用ほおずきが不特定多数の方にも選択肢として提示できるように、
認証を通じて選択肢の1つにしていただくこと。
さらに、お取引先さまにとっての信頼や差別化にもつながること。
まだまだ珍しい、「食べる宝石」ほおずきの美味しさをもっとたくさんの人たちに知って、
食べてもらい、笑顔が広がる世界にしたい。
こうした理由から、私たちはこの認証を取得しています。
個人的な感覚ですが、有機農業をされている方には、
何となく「有機」で栽培することが「目的」になっている人が多いような気がするのは私だけでしょうか。
(あくまで個人的に・・・です)
今では誰でも、どこでも世界中に情報を発信できますし、受け取れます。
食べ物の情報についても、本当にどれが正しいのか、分からないくらい溢れかえっています。
だから、食べ物を選ぶ際にも自分自身でしっかり調べ、
「どう選び、どう使うか」考えていただく中の1つとして、
有機JASは何か、ということも知ってもらえたらいいな、と思っています。
私たちは、「安全・安心」といった言葉を一方的に押しつけることはしていません。
なぜなら、本当に安心できるかどうかは、お客様ご自身の考えが大切だと考えているからです。
最後に 有機JASマークの「その先」にあるものを、
少しだけ考えてみてもらえたら。
スーパーや直売所などで、有機JASマークのついた野菜や加工品を見かけたら、
その小さなラベルの裏にある、大きな努力や想いのことを、
ほんの少しだけでも思い出してもらえたら、
それはきっと、生産者にとって何よりの励みになります。
今年も「食べる宝石」「飲む宝石」が、
みなさんの笑顔と感動に、そっと寄り添えますように。
有機JASについての詳しい情報はこちら
農林水産書 2024年10月号 食とくらしの「今」がみえるWebマガジン
特集 知りたい「JAS」より引用